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志方弥公公式ブログ
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# 第七部 10.
 「それは、どういう事?」
 麻奈の動きが止まる。圭は少しためらいながらも、ポツリと呟く。
「前提に言うわ。夫の事が一番よ。愛してる。だけど――」
「だけど?」
 早く、とせかすような感じで繰り返して言った。
「克の事、最近何だか……ほっとけないの」
 少女の爆弾発言でもしたような顔つきになる。
 麻奈は怪訝そうな顔をして、圭をじっと目を凝らした。
「どういう意味? どういう意味でほっとけないの? ――同情から?」
「それが、分からないの! ただの同情なのか、それとも――」
「好き、なの?」
 圭の言わんとしていた事をズバリ当てられ、圭は顔を真っ赤にさせる。



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# 第七部 9.
 「どうやったら圭のような幸せな結婚が出来るの?」
 麻奈の相談とはそういうものだったので圭は拍子抜けした。そして、困惑気味に目を泳がせながらどうアドバイスすればいいのか迷っている。
「どうやったら、滝川和也みたいないい男を捕まえられるのかしら?」
「ええっと……それは……」
 圭も答えようが無い。なぜなら彼女は学生時代からずっと付き合ってきた結果、結婚という形になっただけである。


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# 第七部 8.
  数日後、圭の家に一本の電話が鳴った。
 急いで出ると、そこには懐かしい声が聞こえてきたので、圭は思わず友の名を呼ぶ。
「わあ、麻奈! お久し振りね」
 高校時代の仲良くしていた友人であり、ロンドンにも遊びに来た事もある。
「どう? 元気にしてた?」
『ぼちぼちよ。ねえ、これからちょっと会えない?』
 麻奈からの突然の誘いに圭は少しためらう。子供が二人寝ている上に夫は仕事、和則は幼稚園だからである。


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# 第七部 7.
 「とりあえず、降りてこい」
 男は布団を踏み潰しながら天井に隠れている部屋の住人に声をかけた。
 部下の二人が天井を叩いて刺激したのでやめろ、と制した。
「そんなことをしたら頼めるモノも頼めなくなるだろう?」
 ちったぁ頭を使え、と男はタバコを思い切り吸った後、胸ポケットに収まっていた携帯灰皿を取り出して丁寧に火を消して入れた。
「俺は乱暴な事は嫌いなんだよ」
 その割にはドアを乱暴に開けたのだが、それを男はまるきり自覚していないように思われる。


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# 第七部 6.
 「そろそろ戻るわ」
 そう言いながら立ち上がって克の方を振り向いた。克は肩をすくめながら、こう言う。
「そうですね、兄さんに怒られたら嫌でしょうから」
「そうね、ありがとう」
 安堵しながらも家に向かって夫のいる部屋へと急ぐ。克はボンヤリとベンチに座ったまま空を仰いだ。



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